「また私ばかり怒ってる…」夫婦で育児方針が合わないとき、どうしている?

「もうお菓子はおしまい」と伝えたそばから、夫が「あとひとつくらいいいじゃん」。寝る時間なのに遊び始めた子どもを注意すると、「そんなに怒らなくても……」と言われる。
こちらだって、好きで怒っているわけではありません。子どもの生活を考えて声をかけているのに、気づけば自分ばかりが叱る役。「どうして私だけ悪者なの?」と、モヤモヤすることはありませんか。
夫婦のどちらが注意する側でも、こうしたすれ違いは起こり得ます。考え方の違いだけでなく、注意する大変さを相手にわかってもらえないことも、モヤモヤにつながるのかもしれません。お互いの思いをすり合わせながら、二人で育児を担っていくには、どうしたらよいのでしょうか。
同じ「子どものため」でも、夫婦でこんなに違う

子どもが「手伝って」と言ったとき、気持ちを受け止めようと手を貸す人もいれば、自分でやってほしいと見守る人もいます。手を貸すことを「気持ちの尊重」と感じるか、「甘やかし」と感じるかは、夫婦で違うことがあります。
また、大切にしたいことが似ていても、今、何を優先するかで意見が分かれることも。習い事を嫌がったときなら、「もう少し続けてほしい」と「本人が嫌なら無理をさせたくない」。どちらも子どもを思っていても、大切にしたいことが違うと、対応に迷うこともありますよね。
でも、「今日くらい夜更かししてもいいじゃん」に引っかかるのは、方針の違いだけではないかもしれません。「遊びを終わらせるのも、明日の朝、眠くてぐずる子を起こすのも私なんだけど……」。そんな気持ちが隠れていることもあります。相手には何気ない「いいじゃん」でも、その後を引き受ける側には、気軽にうなずけない事情があるのです。
そもそも、育児方針って決めたほうがいいの?

「育児方針を決めよう」と言うと、少し大げさに感じますよね。最初から細かな対応まですべてそろえようとせず、「お菓子のことで、いつも言い合いになるね」など、普段気になっていることを一つ話すところから始めてみましょう。
例えば、動画を何時まで見せるかで意見が合わなくても、「夜はしっかり寝てほしい」という気持ちは同じかもしれません。それなら、「夕食の前に見るのはどう?」と、別の方法も考えられます。大切にしたいことが「方針」で、そのための具体的な約束が「ルール」です。
そのときは、ルールだけでなく、誰が声をかけ、その後の対応をするかも一緒に相談しておきたいところ。「決めたけれど、守らせるのはいつも私」にならないようにしたいですね。一度決めても、子どもの成長や生活に合わなくなったら、また話し合って、必要に応じて見直すことも大切です。
夫婦で方針が合わないとき、どう話し合う?

子どもへの対応で意見が分かれたときは、落ち着いてから、お互いがどう考えていたのかを話してみましょう。
例えば、約束の時間を過ぎてもゲームをやめない子どもに、何度も注意しているところで、夫が「あと少しくらいいいじゃん」と言ったとします。夫には「あと少しで区切りがつきそうだったから」という理由があるかもしれません。でも、注意していた側には、それまでのやりとりや苦労があります。
「昼間も約束の時間を過ぎてゲームを続けることがあって、そのたびに声をかけてるんだよね。何度言ってもやめないと、私もだんだん口調がきつくなっちゃって。そこで『続けていい』と言われると、私だけが厳しいことを言っているみたいで嫌なんだよね」。そんなふうに、その場のことだけでなく、普段から困っていることも伝えてみましょう。
そのうえで、「時間になったら、あなたからも声をかけてほしい」「延長するなら、その場で別々のことを言わずに、まず二人で相談したい」と、次からどうするかを話せるとよいですね。
すぐに意見がまとまらなければ、「終わる時間の少し前に声をかけてみる」など、一つ試してみるのもよさそうです。実際の声かけや、子どもがやめたがらないときの対応も交代で引き受けながら、無理なく続けられる方法を探していきましょう。
「私ばかり叱る役」を変えるには?

夫婦でルールを決めても、それを子どもに伝えるのがいつも自分なら、「結局、私ばかり」という気持ちは残ります。「もう終わりだよ」と注意するだけでなく、前もって声をかけたり、一緒に片づけたりするところから、二人で関われるとよさそうです。
例えば、夫が子どもと遊んでいるなら、終わる時間の声かけから寝る準備まで任せる。「そろそろ寝かせてよ」と毎回こちらが促すのではなく、時計を気にするところも含めて引き受けてもらいたいですね。実際に対応することで、遊びを終わらせる難しさや、繰り返し声をかける大変さが伝わることもあるでしょう。
また、「そんなに怒らなくても」と感じたときは、注意している相手に言うだけでなく、「ここからは自分がやるよ」と対応を交代する方法もあります。気になる言い方については、落ち着いてから二人で話すこともできます。
考え方をぴったりそろえるのは難しくても、困っている相手のそばで一緒に動くことはできます。「注意するのは任せきりだったな」と気づいた側から声をかけられると、一人で背負っている感覚も変わってくるのではないでしょうか。
ほかの家庭の工夫を、わが家のヒントに

「気づけば、私ばかりが叱っている」。そんなモヤモヤに、ほかの家庭ではどう向き合っているのでしょうか。夫婦で話し合ったことや、叱り役が偏らないための工夫など、実際の声を紹介します。
リアルボイス
以前、息子にお菓子をねだられて断った後、夫がこっそり渡していたことがあった。数のことより、私の話がなかったことになるのが嫌だった。『その場で一緒に相談してほしい』と伝えた。まだ考え方は違うが、黙って渡すことはなくなった(小3、小1、5歳のママ)
夫が子どもに『ママに怒られるから片づけよう』と言うのが、ずっと気になっていた。『私が怒るからじゃなくて、みんなが使う場所だから、遊び終わったものは片づけようって伝えてほしい』と話しました。今は夫もそう声をかけるようになり、モヤモヤはなくなった(小1、4歳のママ)
寝る前、何度言ってもスマホを手放さない息子を強い口調で叱ったら、夫が息子に『こわっ。キレすぎだな!』とひと言。毎回注意しなくてはいけないのにもうんざりだったし、夫の言葉にもカチンときた。でも、言い返すのも嫌になり、何も言わずにその場を離れてお風呂へ。お風呂から出ると、息子はスマホを机に置いて就寝していて、夫も『さっきはごめん』と謝ってきた。無口で怒りを伝える作戦が効いたみたいだった(小6のママ)
歯磨きを嫌がる子どもに毎晩イライラしていたら、夫に『もっと楽しくやれば?』と言われて。それならと、一週間やってもらった。夫も苦戦して、『毎日これだと大変だね』と。今は交代で担当している(小2、4歳のママ)
わが家は夫のほうが子どもをよく叱る。私は『そこまで言わなくても』と思っていたけれど、夫に『自分が言わなかったら、誰も注意しないでしょ』と言われて、任せきりだったことに気づいた。今は、夫が何度も注意する前に、私からも子どもに声をかけるようにしている(小5、小2のママ)
夫婦の考え方が違っても、「私ばかり怒りたくない」という気持ちは、二人で受け止めたいものです。何度も声をかける大変さや、その後の対応まで分かち合えれば、気持ちも少し軽くなるかもしれません。「ここからは自分がやるよ」と自然に交代できるように、まずはいつも困っている場面を一つ、話すところから始めてみませんか。
取材・文/羽田朋美(NeemTree)
【関連記事】
▼子どもだけの外出、いつから?どこまで許す?注意することは?
▼空手のオリンピック元日本代表に聞いた!習い事を通じた親子のコミュニケーション術